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5.旦那様(ニセ)は、嫁(ニセ)の水着を選ぶのにVIPルームを利用致します。 その2

Author: さぶれ
last update Huling Na-update: 2025-06-02 23:00:38

「最初に喧嘩を売ってきたのは一矢の方でしょう!」

 もはや私も引くに引けず、声を荒げてしまった。

「伊織様! 一矢様になんという口の利き方を! ご自分のお立場をわきまえてください!」

 大声で言い合いをしているところへ、一矢の味方である鬼松が駆けつけてきた。彼は左手にパンやスープを乗せた銀色のトレイを優雅に持っている。

「中松。一矢は私が朝に起こさなかっただけで『嫁失格』などとおっしゃったのですよ。気遣って差し上げただけなのに、いったい、なにが悪いのでしょうか? そんなに私が嫌なら他の方にニセ嫁をお願いすればいいと申し上げていたところです!」

 腹が立ったので丁寧な口調で私が必死で訴えると、中松は冷ややかに微笑んだ。

「伊織様、主人の言葉にはどんなに理不尽でも絶対服従でございます。一矢様はあなた様のご主人でもあられます。ご不満ならば、どうぞ即刻ニセ嫁修行をお辞めになり、緑竹家にお戻りくださいませ。当然、借金一千万円は即座に全額返済いただくことになりますが、そのおつもりでいらっしゃるならどうぞご自由になさってください」

 中松の言葉に、もはや何も返すことができなかった。

 もうこんな修行辞めたい。令嬢など私に務まるはずもない。でも、私が頑張らなければ家族が路頭に迷ってしまう。唇を強く噛みしめて頭を下げ、涙を必死で堪えた。

「……申し訳ありませんでした。立場をわきまえず、夫に失礼な態度を取ってしまいました。少々気分が優れませんので、部屋で休ませていただきます。朝食は結構です」

 滲んだ涙を見られぬようにして、広い

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